オリーブオイルの豆知識
1.他の食品油と比べて、オリーブオイルは何がすごいの?
まずは、果肉から得られるオイルであるということです。ほとんんどの食品油が種子から得られるため、その工程で、加熱、処理精製などが必要となります。そのため植物本来が持っている風味・機能性も失われてしまうのです。ところがオリーブオイルは、オリーブの果肉からそのまま出来るので、精製工程を必要とせず、風味や機能性が自然な状態で備わっているのです。次に、オリーブオイルは変質しにくいのです。構成脂肪酸の75%程度がオレイン酸であるオリーブオイルは酸化しにくく、その上、酸化を防ぐビタミンEやポリフェノールが含まれており、さらに安定性を高めています。
2.オリーブオイルの特徴
オリーブオイルが人体に無害であることは、地中海地方で数千年にわたり食用に使われてきた事からも明らかです。また、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)を初めとするオリーブオイルの成分の医学的効果が科学的に証明されてきています。特にバージンオイルは、オリーブの果肉から絞られたままの「ジュース」であることから各種微量成分をそのまま残しており、そうした成分が画期的な医学的有効性を持つことも確認されつつあります。
オリーブオイルにはリノール酸、リノレン酸、リノレン酸、抗酸化物質がバランス良く含くまれています。
3.オリーブの実はいつ収穫されるの?オイルはいつ採れるの?
栽培地域や品種、果実の利用目的により、収穫時期が異なりますが、オイルということであれば、だいたい11月中旬頃〜翌年の3月くらいまでに収穫します。そして、収穫された果実は、基本的にはなんと収穫したその日から2日後くらいまでには処理され、オイルが得られます。ですからオイルはとてもフレッシュなうちに作られるのです。
4.オリーブオイルをフィルターにかけるとか、かけないとか、それは何?
自然な状態で得られたオイルは、微細な果肉繊維などにより、やや濁りがあるのが一般的です。これをろ過するかどうかということで、ろ過する場合を、フィルターをかけると言います。反対にろ過しない場合は、フィルターをかけないと言います。
5.エクストラバージンオイルって何?
オリーブの果実のみから得られるものであって、化学薬品の使用や加熱処理などを行わないで、単に物理的な行為によって得られるものをバージンオイルと言います。その中でも酸度が1%以下であって、なおかつ特性として欠点がなく、申し分のない風味を有する事。それがエクストラバージンオリーブオイルです。
6.ピュアオイルって何?
バージンオイルの中にも、直接摂取には不向きなオイルがありますが、精製処理をすることで摂取可能なオイルとします。これを精製オリーブオイルと呼びます。この精製オリーブオイルと直接摂取可能なバージンオリーブオイルをブレンドしたものが、ピュアオリーブオイルと呼ばれます。精製オリーブオイルがブレンドされていますが、オリーブオイル100%に違いはありません。
7.エクストラバージンとピュアで使い分けなくちゃいけないの?
料理はあくまで個人の嗜好に左右されるもので、こうしなければならないという決まりはありません。エクストラバージンをあらゆる料理に使用されても全く問題ありません。その逆もしかりです。強いて言えば風味豊なエクストラバージンを加熱時間が長い料理に使用する事は、その風味が損なわれる事があります。商品に価格差もあることからその風味が損なわれるのは、もったいないと考えるほうが普通なのでしょう。このように考えますと、非加熱料理などオリーブの香りを楽しみたい場合は、エクストラバージン、単に炒め油(加熱)などに使用される場合、そしてあまりオリーブの風味をつけたくない場合は、ピュアタイプを、というように分けてお使いいただくほうが、自然と言えます。
8.オリーブオイルと加熱との関係
地中海沿岸諸国では、オリーブオイルはそのままで食されるのと同じくらい、野菜、肉、魚の加熱調理にも多く消費されています。植物油や動物脂は、過熱すると加水分解を起こし、遊離脂肪酸とグリセリンに分解されます。そしてグリセリンがさらに加熱されると酸化をして、神経組織、肝臓細胞にダメージを与える物質を発生させる危険性を伴ってしまいます。しかし、オリーブオイルは加熱による酸化に対して強い性質を備えているので、この危険が他の油脂に比べかなり少ないのです。一般的にほとんどの食用油は、酸化を防ぐために160℃以上に加熱しないようにといわれていますが、オリーブオイルなら180℃程度でも加熱時間が極端に長くならなければほとんど酸化しません。
9.オリーブオイルは揚げ油に最適
揚げ物の際、他の油脂は素材の中に浸透してしまいますが、オリーブオイルは素材の表面に止まり、中へあまり浸透しません。素材にすばやく熱を通すので、油っぽくならずに素材の持ち味も活かされます。また、余分な油質の摂取を避けることにもつながります。最適温度は摂氏180度、煙がでるほど高温にしないことが大切。発煙温度は新しいオリーブオイルで摂氏210度、何回か使ったオリーブオイルでは摂氏170度。すぐに煙が出るようになったら交換しましょう。
10.賞味期限を過ぎると使ってはいけないの?未開封ならオリーブオイルは賞味期限後で
も使えるの?
賞味期限の設定は、出荷から消費者の手に渡るまでの諸条件も加味し、メーカーが保証できるように安全圏を見越したものであるのが通常です。太陽光の下に長時間さらされていたなどの過酷な条件下におかれていた場合を除き、きっちり保管していたものであれば、賞味期限を過ぎたものでも充分ご賞味いただけます。
11.オリーブオイルの保存の仕方は?冷蔵庫に入れたほうがいいの?
オイルはその保存状態によって、美味しく召し上がりいただける期間が変わります。もし冷蔵庫で保管された場合は、しばらく室温に置いてから開封してください。開封後も頻繁に冷蔵庫への保管を繰り返す事は、あまり好ましくありません。またオイルを冷蔵庫で保管すると、オイルが凝固します。凝固自体は悪い事ではありませんが、凝固を繰り返すと風味が落ちるといわれている方もいらっしゃいます。要するに冷蔵庫へ入れなくても、光のあたらない温度変化の少ない涼しい所へ保管していただければ結構です。
12.オリーブオイルの栓は、コルクと金属キャップがあるけれどどちらがいいの?
明らかにコルク栓は避けるべきです。アンティークな趣もあり、或いはワインのような趣もあり、好まれるのも事実ですが、コルク栓は通気性があります。それだけオイルの変質を早める原因になります。一般のご家庭で使用されるとき、少量ずつその使用に併せて小さなボトルへ入れ、その際にコルク栓を使用される事は問題にならないでしょう。
13.オリーブオイルの瓶の底に留まっているのは、何?
遠心分離や粗いろ過では取り除く事ができなかった、微細な果肉繊維が、月日とともに沈降し、集まったものです。また、フィルターを使用しないオイルの場合は、概してこれが瓶の底に溜まります。次は遠心分離などの工程を経ないで、デカンテーション(静置することで自然に分離した上層の油分を集める)などの場合、オイル中に溶け込んでいる水分量が多くなり、経時的にその水分が沈降している場合です。最初の場合は、そのまま食べても問題になりませんが、二番目の場合、その水分に微生物が繁殖する事があります。
14.オリーブオイルはどうやってテイスティングすればいいの?
オリーブオイルのテイスティングにはルールがあります。まず専用の青いグラス(蓋つき)を用いること、そして、試すオイルは28℃前後に保っていること。色つきのグラスは、オイルの色から連想する先入観を排除し、温度はもっとも安定的に香り立ちの良い温度とされています。まず、そのオイルの芳香を確かめ、そして飲みます。飲むときに舌先からそれぞれの味覚をチェックし(甘味、苦味、渋味、辛味)、最後にのど越しをチェックします。口の中で味覚をチェックする時、時折空気を吸い込みながら、香り立ちなど更にチェックします。例えば一般のご家庭でテイスティングされる時は、できるだけ色付きのグラスに取り、お皿か何かで蓋をし、しばらく両手で包み(温める)そして香りを確かめ、続いて味を確かめて下さい。
15.オリーブオイルのテイスティングは、ワインとはどう違うの?
ワインはテイスティングのとき、グラスを回し、ワインに空気が触れる事で変化する味も見極めますが、オイルではその必要はありません。
16.オリーブオイルはワインのように熟成するの?
熟成という表現は好ましくないと思いますが、渋味、刺激などに特徴があるオイルは、貯蔵期間が長くなると、幾分軽減されなじみやすくなります。
17.原産地別に味って違うの?
勿論違います。原産地が異なれば、その気候風土が異なり、そこで生産されるオリーブに影響を与え、結果としてその地域ごとに特徴のあるオリーブオイルができます。たとえ同じ品種のオリーブの実を使っても、できるオリーブオイルは似た傾向はありますが、間違いなく異なります。それを知る事もオリーブオイルの楽しみ方です。
18.サラダのドレッシングとしては、どんなオリーブオイルが一番いいの?
嗜好性の問題であり、一概にどれかをお奨めする事は出来ません。ただ、先ずは風味をお楽しみいただきたいと思いますので、オリーブの特徴を充分に備えているエクストラバージンをお奨めいたします。より健康的にという事であれば、渋味や苦味、刺激のあるものが、健康面に効果のある成分がより多く含まれていると言われています。有機エクストラバージンであれば更に良いと思います。
19.全てのオリーブオイルは、化粧落としのクレンジングオイルとしても使えるの?
敏感肌など感受性の高い肌を除いて、また使用時における香りの嗜好性を無視すれば、基本的に使用できます。しかし、落ちない口紅やハードメークには、完全に落とせない場合もあります。また、化粧落としとして利用する場合、拭取り専用であり、洗い流しはできません。
20.オリーブオイルをヘアケアやボディケアに使っても良いの?
勿論、上記質問の問題点を除けば、使用できます。そうした問題を排除した化粧用オリーブオイルも存在します。オリーブオイルをアトピー患者の全身ケアにも奨めている皮膚科医も多数いらっしゃいます。因みに、オリーブオイルは、医薬用原料として認められており、たくさんのオリーブオイルを使った化粧品があります。
21.地中海式ダイエットになぜオリーブオイルが出てくるの?
地中海地方は古くから現在に至るまで、オリーブオイルの主要生産地であり、その地方の人々の消費量も大なるものがあります。その他に緑黄色野菜、魚介類やワインの摂取なども地中海式ダイエットの特徴と言えます。そして、この地方に住む人々が心臓病による死亡率が低いということが判明し、その理由を調査するうち、オリーブオイルが関与している事が判明したのです。このため、地中海式ダイエットでは、その代表選手としてオリーブが取り上げられています。
22.オリーブオイルの健康的な摂取方法は?
朝、大さじスプーンと2杯程度のオリーブオイルを取るのが理想的(吸収が良い為)。
23.オリーブオイルの種類は他にはどんなものがありますか?
エキストラバージンオイル
・ 香りが高いので過熱しない料理に使う方が望ましい。
・ サラダ、生魚、フルーツなど
(ピュア)オリーブオイル
・ 加熱する料理に使用する。
24.体に良いって聞くけど、カロリーは?
体に良い作用がありますが、摂取カロリーについては他の植物油と変わりません。オイル100gあたり、900kcalです。
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